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Q&A式 Dr.のお話集.1
2009.01.18.dataUP vol.5
Dr.に質問ってなかなか勇気いりますよねー。でも聞いてみました

QAAO手術の後大腿骨頭壊死することはありますか?
A:
RAOでも術後に大腿骨頭壊死を来した人はごくわずかながら見られますが、
因果関係はなく偶然と考えられ、RAO自体と大腿骨頭壊死の関連性があるとは考えられないです。
AAOでも今までの多数(200例近く)の症例中で大腿骨頭壊死を来した人が一人だけ発生しましたが、
やはり因果関係はなく偶然と考えられ、AAO自体と大腿骨頭壊死の関連性があるとは考えられないです。

QおおまかなAAOの適応基準は?
A:
年齢<50歳 かつ 関節症病期=前or初期 かつ CE角<10度
  この場合は手術をご希望なら骨切り術をお勧めしています。
  年齢または病期が上記に該当しない かつ CE角<10度
  この場合は骨切り術を特に強くご希望ならお引き受けしています。
Q:自然分娩出産については?
A: リモデリングされ、産道は確保されます。 自然分娩できます。
Q:CE角を40度から45度以上に覆いますがその根拠は?
A: いかなる形態にするのが望ましいかは学会でも常に議論されています。骨切り後のCE角については、45度前後が望ましいとする意見が多数派です。臼蓋形成不全による股関節症の方に骨切りを行なって被せる場合は、もともと正常であった方よりはどうしても不利ですので、十分に被覆を獲得する必要があるのです。骨頭が球形を保っているなら、その上を完全に被覆し理想的な応力分散を得るには、45度前後のCE角が理想ということになります。
Q:股関節症による「痛み」とは何なのでしょうか?
A:痛みはさまざまな要因で生じます。滑膜炎による痛みも、筋肉痛もあるでしょう。
股関節自体に問題がなくても、その周囲の筋群が疲労すれば、筋肉痛が生じます。
筋肉疲労が筋肉痛につながるのは、どの部位でもそうですよね。筋肉痛があっても、股関節自体に問題がなく滑膜炎がない場合は多いでしょう。こういう場合は、ストレッチとマッサージをわれわれ整形外科医も指導しています。
これに対し、滑膜炎がある場合は股関節自体に問題を生じていることが多いでしょう。軟骨が損傷して炎症の起因物質が遊離放出されて滑膜に到達し、滑膜炎となります。この炎症を滑膜の痛覚神経末端が検知して痛みとして中枢が認識します。痛みがあると、神経の反射で筋肉は硬直します。絶えず緊張の高まった筋肉は疲労し筋肉痛を感じることになります。ですから、筋肉痛は大抵の股関節痛にあるはずです。これに対し、滑膜炎は限られると思います。
筋肉痛は関節が悪くても悪くなくても普遍的に生じうるもの、一方、滑膜炎による痛みなら問題だ、と考えてよいでしょう。
整形の医者は筋肉をきちんと見ます。整形外科医、中でも特にスポーツ整形に関心のある医師は、筋肉の張り具合なども絶えず気にかけて診療しているのです。

Q:股関節形成術、自骨手術後の予後についてはどう考えたらいいでしょうか?
A:自骨手術を受けた後、将来の人工股関節が絶対にいやでも、低率ながら股関節症が進行することはあります。
生来正常の股関節と手術で正常化させた股関節とは残念ながら違うのです。運動をやめたり、日常生活でもできるだけ負荷をかけないようにして股関節を大事にしても、運が悪ければ股関節症は進行してしまうことがあります。
もちろん、大事にすれば進行の恐れや程度は抑えられるかもしれません。しかし、もともといろんなことをやり続けたいという目的で手術を受けた方が、何もせず大事にすることに人生の意味があるのかは、ご自分でご判断いただくよりありません。
手術にも、その後の生活にも、結局のところ低いながらもリスクはあるわけです。ただ、骨切り術によって、積極的な人生を送っても股関節症が進行する率を減らすことができた可能性があるということなのです。
積極的に活動した結果もし股関節症が進行したとしても、人工関節という救済手段は残されており、少なくとも日常生活は維持できるというわけです。

Q「なぜAAO手術した後、術脚が長くなる」のか、また「揃う目安はいつ頃」なのでしょうか?
A:
AAOで患肢はやむなく伸びるのではなく、2つの理由から意図的に伸ばします。まず、RAOやERAOでも大腿骨頭は内方化しますが、AAOでは腸骨の骨切りドームの真下へ骨頭を位置させることが骨子ですから、やはり骨頭は内方化します。すると、腸骨から大転子へ走る中殿筋は長さが減るため、このままでは外転筋力が低下し、トレンデレンブルグ跛行を来してしまいます。従って、RAOでもERAOでもAAOでも、大腿骨頭の内方化に応じて、下方化も同時に獲得させることが必要なのです。この、大腿骨頭の下方化がすなわち脚の延長ということに他なりません。
この際、RAO原法ではスペーサーを置く必要があるのに対し、ERAOとAAOでは不要としたことが改善点の一つということになります。
さらに、これらの骨切り術を要する患者さんにおいて、大腿骨頭のペルテス様変形、股関節症による変形、遺残亜脱臼などにより、患肢は正常より短縮していることが多いですから、延長させることは本来の長さに近付けることにもなります。従って、おっしゃる「いつか脚の長さが揃う」ということが、患肢の術後経過中の短縮ということでしたら、それはトレンデレンブルグ跛行という望ましくない結果を生むかもしれません。

Q:股関節骨切り術のCPO・SAOとは?
A:
CPOは当初、内臓を傷つける危険を避けることを主な目的として、福岡大学の内藤教授がご発表されました。外から内へ向かって切ると内臓を傷つける危険があるため、骨盤の内側から切ります。
ただし、外側まで正確に切らないと骨切り術として失敗する恐れがあるため、コンピュータナビゲーションを使用します。Ganz氏の骨切りPAO(Periacetabular osteotomy)は直線的に切るといういささか大ざっぱとも言える方法ですので、これを改変し、曲線的に切るものです。このため、名称がCurved Periacetabular Osteotomy、頭文字を取ってCPOです。(CE3追記:10cm前後の皮切で前方から進入し殿筋群を全く剥離せずに寛骨臼を回転骨切りする方法らしいです。侵襲が少なく,恥骨の骨切りを工夫することで移動臼蓋の内側化も行えるそうです)
SAO(Spherical Acetabular Osteotomy)とかDial Osteotomyとか臼蓋移動術とか、RAOとほぼ同様の形の骨切り(切り方はさまざま)をそれぞれ異なる医師がご発表された歴史があり、各々の呼称です。

Q:チタン合金アパタイト人工関節 骨と自然に結合する人工関節 が新聞で報道されましたが?
A:私は人工関節も多数行っておりこの人工関節は、当然ながらすぐにメーカーが売り込みに来られました。
しかしながら、この手の報道は時々出るもので、毎度かなりセンセーショナルに取り上げられますが、真に素晴らしいものに巡りあったことは残念ながら未だありません。この新機種も、現状では片手落ちと言わざるを得ない製品です。金属部分と骨との結合はたしかに従来品より向上したのかもしれませんが、肝心の関節摺動面の耐摩耗性は従来品と何ら変わりありません。この結果、将来関節摺動面が磨耗して再置換が必要となったとき、大腿骨から抜去する際にむしろ著しい困難が生じ、最悪の場合は大腿骨を切開して摘出せざるを得ない恐れもあります。
だからといってステム(大腿骨髄腔へ挿入するチタン合金部分)を大腿骨から抜去せずに、摺動部の骨頭(ステムの頚部先端に装着する丸い人工骨頭部分)だけを外して交換するとなると、初回手術時に使用できるジルコニアセラミック骨頭はステム頚部の傷の問題から再置換時には使用できないため、コバルトクロム合金製の骨頭を使用するよりなく、再置換術後の耐摩耗性がさらに落ちることになってしまいます。このことをメーカーの担当者に指摘し、摺動面の改良を逆に注文しておきました。もちろん、現時点でバランスが最善と考える機種を私は使用しています。人工股関節と骨切り術のどちらがいいとは一概には言えません。最終的にはもちろんご本人に決定していただきますが、いずれが目の前の患者さんに合うか、その都度一緒に考えています。 

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注意:こちらに書かれている内容は2006年12月に筆者(CE3)自らがAAO手術を受けた経験で書かれています。文章は篠田昌一医師に見て頂いております。また治療プログラムは各自の症例によって異なります。